
「Phantom INTEGRATION Nitro The Best! Vol.1」(Nitro+)
商業作品です。まずは個人的でとても失礼なエピソードをひとつ――1999年当時、私は某美少女ゲームメーカにて雑用などをやっておりました。美少女ゲームメーカには多少、横のつながりというものがありまして、仲の良いメーカからは新作のサンプルがどんどん送られてきたりするのです。ある日出社してみると、会議机の上に、地味なデザイン、とてもじゃないけどキャッチィとは言えない絵柄、聞いたことのないメーカ、今ひとつピンとこないタイトル……のパッケージが置かれていました。上司に聞いてみると、先日知り合った新鋭メーカの新作だそう。他にもいくらでもやるべき作品が積まれていた私は「ふーん」とその、エロゲーなんだか一般ゲーなんだかもよくわからないパッケージを一瞥しただけで、その場はスルーしたのでございます。
数日後、出社するとなんだか隣の席のP氏が騒いでおるのです。これはとびきり面白かったからやってみろ、と。その手には、先日思いっきりスルーした「Phantom of Inferno」のパッケージが。P氏がそれだけ言うのならと、私は自分のPCにそのゲームをインストールしてみました。就業時間であるにも関わらず…(笑)
これまた数日後、「Phantom of Inferno」のパッケージを片手に、必死に布教活動を行う私がおりました。今書いているこの文章もその延長なのではなかろうか。とにかく、やってみろ。その一言に尽きる作品です。10年前の作品ですし、もう古くなっている部分もあるかもしれませんが……しかし、「この作品から始まった」というものも確実にあると思います。例えば、「一般人が暗殺者として育成される」という概念を、美少女/萌え系の業界に持ち込んだ初めての作品ではないかな。(この作品が美少女/萌え系かというとそれはそれで疑問ですが)
アニメもやっていたようですが、どんなもんだったんですかね。今、これを、新作として世に広めるには、ちょっと使い古された感もあると思います。当時は、全然そんなことなかったんですけど。